KANEDA Mio Exhibition 金田実生展 -笑って眠る-

金田実生は学生時代、多摩美術大学のデザイン課に席を置きながら、版画に没頭し、幅広い版画技術を身につけ制作をしていた。金田の特徴のひとつである独特な発色やタッチは、豊富な版画の知識、またその後の自分の表現に適したメディウムや技法を地道に模索してきた結果である。「速やかに、密やかに」のように詩的なタイトルとともに、強い色も、刺激的なモチーフもないのに、いつまでも心に残る作品は、作家が日々を生きる中、感性を含めた六感全てのレセプターで受け取ったもの、いわゆる「気配」といったようなものを含めた何かを自分を媒体に真摯に絵というものに留めていっているものなのだ。20年のキャリアを持ちながら、展覧会数、作品数が限られているのは、ひとつの作品に長い時間とエネルギーを費やすためであり、その分各作品の持つ穏やかな強さは圧巻である。

本展では会期を2期に分け、I期では、描きためてきたドローイングノート6冊を含めた紙の作品を展示(ノートは手にとってご覧になれます)。第II期では、新作の油彩を発表いたします。

4/2(金)18:00〜、出品作家を囲んでのオープニングパーティーを開催いたします。

金田実生コメント

暮らすということは、何かと関わっていくことだ。
私は暮らしのなかの関わりを絵にしている。
この世界のものごとは互いに関連し合って成り立っていて、事実も、実体のあるものもないものも、あらゆる存在がどこかで結びつき、この世界の広がりと奥ゆきを作りあげているように見える。
それぞれの「私」もまた、「私」の外側、そして内側で、世界と関わりを持ち続けている。
そんな視線で暮らしを眺めると、私の周囲にもさまざまなあらわれがある。
そのあらわれが何かを指し示すとおもわれた時、それらを絵にしようと思う。
なぜそれらに目を留めたのか、大切に思ったのかと問いを持って。
そして小さくともひとつの実りとして。