Jarg Geismar ヨーク・ガイスマー BY CHANCE Life is not a shadow

2008年のプラハビエンナーレへの参加が記憶に新しい、国際的に活躍するアーティスト、ヨーク・ガイスマーは、現在東京を拠点に活動しています。今回の個展では、カラフルで伸びやかなドローイングが描かれた透明なプラスティックボードを用い、広い窓の明るいギャラリースペースをユニークに変貌させるインスタレーションを発表します。

ヨーク・ガイスマーは自らが生きる場所、かかわった様々な都市を歩き、風景、空気、人に触発された作品を発表してきました。その作品の形態は、写真、フィルム、ドローイング、インスタレーションなど多岐にわたります。作品はのびやかで、自由で、開かれている。どれも自然に、偶発的に生まれたように見えますが果たして「偶然」とは何でしょうか。

本展の「BY CHANCE(偶然に)」、「life is not a shadow(-人生は影ではない)」というタイトルが示すのは、外見的な作品の形状とは直接かかわりのないことのように思われます。しかし、「偶然」(に見えること)、そして「影」という予測できるものに対しての予測不可能な「人生」を考え、自らをメディアとして世界を生き、歩き、人と出会い、発想し、制作する彼の作品に触れながら、私たちは今「身近」になってきたと言われている「アート」の持つ意味やあり方をもう一度考える機会を得ることになるかもしれません。